パソコンのCPU冷却を助けるCPUグリス【選び方と塗り方】

CPUグリスの選び方とスペック表の読み解き方
デスクトップのPCはもちろんのこと、ノートPCなどでも、CPUグリスというのはCPU冷却性を向上させる非常に重要な役割を持ちます。CPUグリスは購入時にCPUに塗布されています。1〜2年とPCを使い続けるうちにCPUが徐々に固まっていき、熱を逃す性能が低下していきます。
しかし、PC初心者にとって適切なCPUグリスを選んだり、塗り直すのが難しいですよね?
ここでは、CPUグリスの基本的な特性と、スペック表から製品の特徴を読み解く為に詳しく解説します。
パソコンでよく聞くCPUグリスって何?その役割とは?
CPUグリスは、パソコン内部のCPUとCPUクーラーの間に塗布される粘土の様な液体のことで、二つの部品間の熱伝導を助け、CPUの熱をクーラーへと効率よく移動させる役割があります。このグリスがないと、CPUから発生する熱がクーラーへ効率的に伝わらず、CPUの加熱により、PCの性能低下につながる可能性があります。CPUが冷却できないと最悪の場合、CPU故障、パソコン故障にも繋がりかねないのです。

CPUグリス製品スペック表の見方と指標
スペック表の項目の意味を理解できればCPUグリスを適切に選ぶことができます。主要な指標には以下のようなものがあります。
- 熱伝導性: 熱伝導性は、グリスがどれだけ効果的に熱を伝えるかを示す指標で、通常、ワットメートル・ケルビン値で表されます。この数値が高いほど、CPUの熱がクーラーに効率的に伝わることを意味します。
- 粘度: 粘度は、グリスの塗布しやすさに直接関係します。粘度が高いと塗りにくく、低すぎると初期の馴染みが悪くなるため、バランスが重要です。
- 耐久性: CPUグリスは高温状態が長期間続くと性能が低下するため、どれだけ長くその性能を維持できるかも重要なポイントです。高品質なグリスは長いメンテナンスサイクルを可能にし、頻繁な交換の手間を省けます。
- 動電性: 一部の高性能グリスには金属成分が含まれており、熱伝導率を高める反面、ショートのリスクを増加させることがあります。初心者は、ショートのリスクを回避するために絶縁タイプのグリスがおすすめ。
購入時の選び方のコツ
最適なCPUグリスを選ぶためには、以下のポイントを抑えると良いでしょう。

- 熱伝導性が高いものを選ぶ: 熱伝導率が高いものを選ぶのは基本ですが、CPUグリスの冷却性能の差は各社2〜3度とわずかの差であり、その部分に過度な期待をして高額な製品を購入するのはあまりお勧めできません。
- 塗りやすさを考慮する: 初心者にとって塗りやすさは非常に重要です。塗布が簡単で、初期馴染みの良いグリスを選ぶと良いでしょう。
- 耐久性を重視する: 長期間にわたって性能を維持できるCPUグリスを選ぶと頻繁なメンテナンスの手間を省けます。
他にも液体金属というCPUグリスに似た役割のものが有ります。これは粘り気が全くなく、本当の水の様なサラサラの液体金属なので取り扱いが難しく、液漏れのリスクも高いので購入は避けるのが無難です。
CPUグリスの塗り方と広がり方
CPUグリスの塗り方は冷却性能に直結します。以下の方法が一般的に推奨されています:
- 米粒塗り(小さな点状に塗る方法)
- CPUの中心に米粒大のグリスを置き、クーラーの圧力で広げる方法。余分な空気が入りにくい。
- ばってん塗り(X字状に塗る方法)
- グリスをばってん状に広げることで、端から端まで均一に広がりやすい。
- 薄塗り(ヘラで均一に薄く広げる方法)
- 空気の混入を防ぎやすいが、均一に塗るには経験が必要。
- 指塗り
- 指でグリスを直接広げる方法。塗りやすいが、衛生面やムラが出やすいデメリットあり。
グリスを塗るときのよくある注意点
- 厚塗りしすぎると、逆に熱伝導率が低下する場合があります。
- 塗布量が少なすぎると、隙間が埋められず冷却効率が下がります。
- 空気が入ると熱伝導が阻害されるため、ムラなく塗ることが重要です。
よくある失敗例とその理由

- 塗りすぎる
- 厚く塗ると、グリス自体の熱伝導率がCPUやクーラーの金属より低いため、冷却性能が低下します。
- 空気の混入
- ヘラで塗る際や塗布量が適切でない場合、空気が入り熱伝導効率を妨げる原因になります。
- 不十分な量
- 塗布量が少ないと、隙間を完全に埋めることができず、CPUの温度が上がりやすくなります。
- 適していないグリスの使用
- グリスの種類によって熱伝導率や粘度が異なるため、性能の低いグリスを使用すると効果が減少します。
塗りくらべ実験:塗り方による温度上昇のちがい
以下は、実際のパソコンにCPUグリスの塗り方と温度の変化を比較してみた例です。
塗り方 | 最大温度(℃) | コメント |
---|---|---|
米粒塗り | 70 | 効果的に冷却され、空気の混入も少ない方法 |
ばってん塗り | 72 | わずかに空気が入りやすいが許容範囲内 |
薄塗り | 70 | ムラなく塗れば効果的かも |
指塗り | 74 | 塗りムラが出やすく、冷却効率がやや低下 |
未塗布 | 90以上 | 冷却効果が極端に低下、CPUに負荷がかかる |
まとめ:CPUグリス選びのコツと塗り方

- 熱伝導率の高いグリスを選ぶ: 熱伝導性が高いグリスはCPUの温度を効果的に下げる。
- 塗りやすいグリスを選ぶ: 初心者は塗布しやすいグリスを選ぶことで、施工ミスを防げます。
- 耐久性を考慮する: 長期間性能が維持できるグリスは、メンテナンス頻度を減らすことができます。
自分のPCの使用状況に合ったCPUグリスを選び、最適な冷却性能を実現し、塗り方は、「米粒塗り」や「ばってん塗り」が効果的で、適量をムラなく塗布することが重要です。また、以下のポイントも押さえておきましょう:
- グリスは定期的に交換が必要(半年~1年に1回が目安)。
- 高性能グリスを選ぶことで、冷却性能を向上可能。
- 適量を守り、空気の混入を防ぐ。
これらを意識すれば、パソコンの冷却性能を最大限に引き出すことができます。メンテナンスの際にはぜひ参考にしてください!
又、CPUグリスの塗り替えはパソコンの分解が必要なので、修理店EyeSmartに依頼するのも便利です!
- 分解に自信がない‥
- CPUファンが最近うるさい
- パソコンが妙に熱い‥
パソコンのこんな症状がありましたら、分解クリーニングも任せられる修理店EyeSmartへご相談ください!