SteamOSがポータブルゲーミングPCに開放!【ゲーミングパソコン新時代】

任天堂の「Nintendo Switch 2」が発売される話題の中、ポータブルゲーミングPCの市場も活気づいています。ASUSのROG AllyやLenovoのLegion Goといった、高性能でコンパクトな携帯型ゲーミングPCが次々と登場してきた昨今。
携帯型ゲーミングPCの代表格「Steam Deck」を開発したValveが、これまで独自運用してきたOS「SteamOS」を他社製品にも開放するというニュースが話題です。
もし、あなたが持っているゲーミングPCや、携帯型ゲーミングPCにSteamOSを入れられるようになったら、どんなメリットがあるでしょうか。バッテリー持ちが良くなるか、操作しやすくなるのか、それとも処理性能が上がるのか――。今回は、そんな新たな展開について解説。
SteamOSとは? その魅力と開放の道のり

SteamOSとは?特徴
SteamOSは、Valveが開発したLinuxベースのオペレーティングシステムです。もともとはSteam Deckという携帯型ゲーム機専用に作られていました。最大の特徴は、Windows向けのゲームを高い互換性で動かすための仕組み「Proton」を備えている点です。これによって、Windows用に作られたゲームの多くをSteamOS上で快適にプレイできます。
また、SteamOSは「軽量なOS」であることも大きな強みです。バックグラウンドで動く余計なプロセスが少ないため、限られたハードウェアリソースでも高いパフォーマンスを発揮しやすく、Steam Deckの成功を支えています。
他社製ゲーミングPCへのOS開放決定まで
Valveは当初、SteamOSをSteam Deck専用として運用していました。
しかし、Steam Deckのヒットによるユーザー拡大や、携帯型ゲーミングPCがWindowsを搭載していても必ずしも快適に動作するわけではないという実情を踏まえ、
ついにSteamOSを他社製のゲーミングPCにも対応させました。
実際、Microsoftのゲーミング部門トップであるフィル・スペンサー氏も、2024年3月のインタビューで「Windowsは携帯型ゲーミングPCに最適化されているとは言えない」という趣旨の発言をしています。
これがValveの決断を後押しした一因とも言われています。
SteamOS開放の最新情報と対応予定機種
バージョン3.8で正式に他社対応へ
Valveは今年3月、SteamOS Ver.3.8から他社製品への正式対応を始めると発表し、業界に大きな衝撃を与えました。
現在リリースされている「SteamOS 3.7.0 Preview」でも、一部の非Steam Deck端末へのサポートが追加されていますが、本格的な対応は3.8からと言われています。
ポータブルゲーミングPCのLenovo Legion Go Sが2025年5月に出荷開始!
Lenovoから発売予定の「Legion Go S(SteamOS版)」は、2025年5月に出荷開始を予定しています。
これは、SteamOSの公式ライセンスを受けた初のサードパーティ製携帯型ゲーミングPCで、業界の大きな転換点となるモデルです。AMD Ryzen Z1 Extremeプロセッサや最大32GBのLPDDR5X 6400メモリを搭載する高性能機として、すでに大きな話題です。
ASUS ROG Allyなど他社デバイスへの広がり
ValveはSteamOS 3.6.9ベータ版の段階で、すでにASUS ROG Allyのコントローラーサポートを組み込みました。
今後はさらに多くの端末にも対応していく計画があると見られており、将来的にはさまざまな携帯型ゲーミングPCでSteamOSが利用できるようになると期待されています。
現時点で公式にサポートが確実と言われているのはLenovo Legion Go Sだけですが、Valveはテスト版のSteamOSを一般ユーザーにも公開し、動作確認を進める方針を示しています。
ユーザーによる先行導入の動き
公式対応を待ちきれないユーザーの中には、
まだ公開前のSteamOS 3.8を独自入手してASUSやLenovoの携帯ゲーミングPCに導入するユーザーも出始めています。

YouTubeなどにもこうしたDteamOSの独自導入レポートが多くアップされていて、SteamOSのポテンシャルの高さに注目が集まっています。正式サポート前にもかかわらず多くの端末でSteamOSが動いていることは、多くのユーザーが大きな期待を寄せている証拠と言えます。
SteamOSを導入するメリット:Windowsとの比較

高いゲームパフォーマンス
SteamOSの最大のメリットは、ゲーム専用に特化した性能です。
Windows環境と同じゲームで比較すると、最大で4割ほどフレームレートが高くなる場合があると報告されています。これは、Windows特有の多くのバックグラウンドプロセスがSteamOSではほとんど存在せず、ゲームにリソースを集中させられる設計になっているためと考えられています。
携帯ゲーミングPC向けの操作性
Windows OSは、本来はデスクトップPC向けに作られた汎用OSです。
そのため、小さな画面やコントローラーでの操作がメインとなる携帯型ゲーミングPCでは、やや扱いにくい面があります。一方でSteamOSは携帯端末でのゲームプレイを前提にしているので、コントローラーやタッチ操作などをスムーズに行えるUIになっています。
Steam OSでバッテリー効率の向上?
SteamOSは不要な機能やプロセスを抑えているため、Windowsよりもバッテリー持続時間を延ばしやすいです。
同じハードウェアでも、OSの違いで消費電力は大きく変わります。携帯ゲーム機で長時間ゲームを楽しみたい人にとっては、バッテリー持続時間は重要です。
携帯ゲーミングPC市場への影響:Windowsの独占状態は変わる?
これまで携帯ゲーミングPCの世界ではWindowsが主流でした。

Lenovo Legion GoやASUS ROG Allyなど人気機種にはWindowsが搭載されており、ゲーム以外の幅広いソフトウェアを使えるという強みがあります。
しかし、SteamOSが他社向けに開放されることで、ゲーム特化の利便性を求めるユーザーが増える可能性も高まっています。実際、MicrosoftはCES 2025で「携帯型ゲーミングPCにXboxの体験をさらに広げる」という方針を発表しており、SteamOSとWindowsによる新たな競争が激化しそう。
ゲーム性能やバッテリー重視ならSteamOS、ゲーム以外の用途や多くのソフトを使いたい場合はWindows――という形で、どちらを選ぶかはユーザーの普段の使い方によって選ぶと損はないでしょう。
まとめ:SteamOSがポータブルゲーミングPCにもたらす新時代
SteamOSが他社製品に開放される流れは、ポータブルゲーミングPCを大きく変えるかもしれません。

2025年5月に出荷開始予定のLenovo Legion Go S(SteamOS版)は、その象徴的な存在と言えます。ここからさらに多くのメーカーがSteamOS対応のゲーミングPCモデルを発売していけば、ゲーミングPC市場はまた大きく広がっていくでしょう。
また、Windows 10のサポートは2025年10月で終了予定です。古いPCを使い続けたいものの、Windows 11にアップグレードしにくいというケースでも、SteamOSを導入してゲーム専用マシンとして再利用する選択肢が新たに増えるかもしれません。
今後のSteamOSの普及度は、ゲーム開発会社やハードウェアメーカーの対応状況に左右されますが、正式リリース前から多くのユーザーがテスト導入しており、SteamOSへの期待は高まっています。
高性能な携帯端末と、ゲームに特化した最適化が施されたSteamOSの組み合わせがもたらす新しいゲーム体験。
これからどのように広がっていくのか、ますます目が離せませんね!

